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広島尾形、重傷負った球場でフル出場
<西武6-6広島>◇17日◇グッドウィル
広島尾形佳紀外野手(28)がトラウマをぬぐい去った。グッドウィルドームでの対西武オープン戦に「8番中堅」で先発した。右ひざ前十字じん帯断裂から復帰して初めての人工芝での守備。しかも、05年5月に悪夢を見た球場だ。試合前はやや不安そうな表情を見せていたが見事に9回裏まで守り切った。打っても2安打で、オープン戦計15打数7安打。本格復帰へ、大きな関門を突破した。
グッドウィルドームは昔の西武球場。05年5月当時の名称は「インボイスSEIBUドーム」だった。名称は変わったが、その独特の雰囲気や球場の性能は2年前とほとんど変わっていない。尾形にとっては悪夢の球場だ。当時を思い返しつつ球場入りすると、尾形は目を丸くした。「中堅」で先発と聞いた。
試合前の尾形は少し動揺していた。「びっくりしました。スタート(先発)ですよ。この球場でケガしたんでね…。ないだろうと思っていました。でも大丈夫だと思います」。外野での守備練習を終え、三塁側ブルペンにいるブラウン監督に呼ばれると「たのむよ」と肩をポンポンとたたかれた。
首脳陣もトレーナーも息を飲む中のプレーは無難そのものだった。守備機会は6度。左中間寄りの打球に全力で追いつき、しっかり踏ん張って処理したりと、生き生きと走り回った。「みんなが気をつけろよ、とか声をかけてくれてうれしかったです。塩まいとけとか言われましたしね」。
実際に清めの塩がまかれた。石井トレーナーが食塩の入った袋をたたいて塩を念入りに砕き、ベンチ前に盛り塩をつくった。「佳紀のためですよ」と祈るような表情だった。その効果が出たのか、約3時間の緊張が解けた同トレーナーは笑顔だった。永田外野守備走塁コーチは「無事に終わったよ。アイツももう心配ないって言ってたよ」とはしゃいでいた。
ブラウン監督も当然知っていた。首脳陣の間で慎重に話し合われていた。足腰に故障のある選手は人工芝にもっとも神経を使う。重傷からよみがえった尾形、しかもこの球場の芝はかなり硬め…。だが結論は「いつかは守らなければいけない。吹っ切れないといけない」だった。最高の形で関門突破を果たした。
心と体の上昇カーブに負けじと、バットも止まらない。西武のエース西口から第1打席に右前打し、5点の大量点の火付け役になった。第3打席も左腕三井から中前にはじき返し、マルチ安打。オープン戦は15打数7安打、打率を4割6分7厘まで引き上げた。
これだけ打てて、守りも安心となれば…。「レギュラー? 本当に、本当にそこまでは考えてないんですよ。今はいい球がきたらどんどん振っていこうと思っている。だいぶ慣れてきました」。ブラウン監督も笑顔でこう言った。「佳紀はずっと調子がいいね。打撃は十分やっていける。レギュラーとなったら体力的にどれだけできるか。素質が高いし楽しみだ」。05年5月28日という最大の「過去」を消し去ったヤング・オガタを頼もしそうに見つめている。【柏原誠】
[2007年3月18日12時28分 紙面から]
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