ベテラン選手の背中は雄弁:柏原誠
2007年も残すところ1週間。24日はクリスマスムード一色で、イルミネーションがきれいな平和大通りは家族連れやカップルでにぎわっていた。でも、こちらは聖夜のムードに浸る余裕などない。「ネタ」を求めてあちこち駆けずり回る日々はまだ続く。
大野練習場もすっかりオフモード。人けも少ない。「空振りか…」と思ったが室内練習場から音が聞こえてきた。緒方がティー打撃を行っていた。1人で黙々とティーの上にボールを乗せ、大鏡に映るフォームをチェックしながらスイングを繰り返した。吐く息は白く、額には汗がにじんでいた。前田智も日が暮れるまで練習場にいた。
誰に強制されたわけでもなく、自然と足が練習場に向いている。2人とも練習場が閉じる26日まで通う予定だという。長い長いシーズンを戦い終えて、つかの間の休息となるはずの年末も、彼らにとっては無駄にできない時間なのだ。
高校時代、こんな訓を聞いた。「人間はいつか必ず死ぬ。死ぬ時から逆算して人生を考えると、1分1秒も無駄にできないことに気付くだろう。死を意識している人間の人生は充実している」。野球選手には現役引退を当てはめると分かりやすい。「逆算」の時期に入っているベテラン選手の背中は雄弁だ。
緒方は9月に球団に引退を申し入れた際、「2軍の選手を教えたい」と志望したという。自らがファーム落ちしたときに、何か感じたことがあったのだろう。何年もプロでメシを食ってきた男たちには、伝えたいことがあふれている。他の選手も「生きた教材」から学ぶことは多いと思う。
- 網孝広(あみ・たかひろ)
- 1972年、大阪府堺市生まれの35歳。入社後広告局に7年、編集局整理部(レイアウト部門)に3年半在籍。06年11月広島総局に赴任。34歳で初めて「新聞記者」になったオールドルーキー。Jリーグ、高校野球、高校サッカーなどの担当を経て07年9月よりカープ担当に。08年の予想順位はエールを込めて3位。まだまだ独身。
- 柏原誠(かしはら・まこと)
- 1977年、長野市生まれの29歳。アマチュアスポーツ全般、Jリーグ、オリックス、阪神担当を経て06年1月からカープ担当。好きなブラウン語録は「ユニホームの後ろ(個人名)ではなく胸のマーク(チーム名)のために戦え」。07年の予想順位は希望込みで中広巨神横ヤ。ちなみに昨年の予想は中神巨広ヤ横と惜しかった。幼少時からG党で原辰徳、松井秀喜のファンだったが熱はすっかり冷めた。家族は妻と2歳の長男。