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胸張れ野村、広陵準V/高校野球
<全国高校野球選手権:広陵4-5佐賀北>◇22日◇決勝
あと1歩及ばず-。広陵は佐賀北に4-5で敗れ、初の夏制覇はならなかった。エース野村祐輔(3年)が7回まで1安打投球。打線も7回までに4点を奪い優勝が見えた8回、一挙5点を奪われ逆転された。創部96年目の夢は果たせなかったが、4年ぶりに臨んだ夏の大会で準優勝の成績を残した。胸を張って広島に戻ってきてほしい。
あとアウト5つだった。4-0の8回裏、先頭打者を三振で1死。そこから2連打と四球で満塁のピンチ。佐賀北のアルプスの歓声が割れんばかりに大きくなる。カウント1-3から野村が投げたこん身の低め真っすぐの判定はボール。押し出しで1点が入り3点差。次打者の3番副島がスライダーを強振すると、打球がレフト方向へ。バックする左翼手の山下高久雅(3年)の頭上を越えて左翼席へ。「何が起こったのか分からなかった」(山下)。「(球が)少し抜けてしまった。中井先生に申し訳ない」。まさかの逆転満塁弾。野村は悔やんだ。
7回まで10奪三振で被安打はわずか1。打線は2回に4安打を集中し2点を奪い、2回途中で相手先発の馬場をマウンドから引きずりおろした。相手エースの久保がマウンドへ。佐賀北の「必勝リレー」を早々と崩した。7回には野村自身の適時二塁打で2点を追加し4-0。誰もが勝利を疑わなかった。
そして悪夢の8回…。中井監督は「押し出しの1球は明かにストライク。この子たちは言えないから僕が言います」とジャッジに不満を示した。愛する教え子を精いっぱいかばった。監督の横で小林誠司捕手(3年)は号泣していた。
野村は岡山県出身。倉敷ビガーズ時代の中3時、関西高に決まりかけていたが
、その年の9月に広陵の練習を見学に出かけた。練習風景や先輩の選手を見て、その日の帰りには広陵進学を決めていた。母・真由美さん(44)は「あの日があの子の人生を変えた」。親元を離れての寮生活。何でも1人でやらなければならない。当然苦労もあったが、得られたものはその何倍も大きかった。まさかの逆転負けを喫した後、野村は「広陵にきて良かった。選んだ道は正しかった」と言い切った。
8回137球、12三振、失点5。最後の夏は終わった。ジャッジには賛否両論あるだろう。「思い切り投げた結果だから悔いはない」(野村)。中井監督に日本一を送ることはできなかったが、主将土生翔平(3年)は「悔しいけど、最後まで戦えて幸せ」。新チーム結成後、中井監督が「弱い」と言い続けたチームが優勝へあと1歩のところまで迫った。「もっと頑張れってことかな」。中井監督は思わずつぶやいた。再挑戦は、休む間もなく今日から始まる。【網 孝広】
[2007年8月23日12時30分 紙面から]
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